始まる。何カ所か巡った後、茶花簀方面の一行が者柯哨村のY字路の所にやって来る。半城山方面の者たちも先にこのY字路へやって来ていて、彼らを迎える。これは火の神迎えの行事である。その後双方は一緒に半坡の踊り場に行ってドラ踊りを踊る。その後、六〜七人ずつに分れて各家々に祝福に訪れる。各家の主人は門を開けて一行を迎え入れ、家の中央の部屋にテーブルを置いて線香を立て、米、酒、肉、三十六銭以上の金銭を並べ置く。それぞれの家の方から酒が勧められ、貝碼などドラ踊りの一行は一緒になって古歌を歌う(一船にはタイマツ祭りの古歌のみ千を歌う一。それが終ると食事が運び出されてドラの上に置き並べられ、食事となる。それが済むと頭屋(一般に茶花簣と半坡の二方面から一人ずつの二人)が鉄の鎖を手にとって各部屋に行ってそれを振り厄払いをする。祭壇に供えられた物、祝儀の銭を受け取り、そしてその家のボロ籠の類いも探し出して一行は外へ出て行く。ドラ踊りの一行は各家々を巡った後、村外れで踊り、また田園のほとりへ行っても踊り、作物の祈願をし、悪疫除災、害虫駆除を神に祈る。またイ族の家では、この日田圃のほとりに木の枝と稲茎とで小祭壇を作り、少しばかりの飯、神酒などを供え、傍らに線香を括して祭りをする。
二十七日夜、者柯哨村で大タイマツを立てる。村はずれの広場中央に穴を掘り、そのそばに三本の線香を插す。貝碼は経を念じ、人人は力を合せて七、八丈もある大タイマツをその穴に立てる。多勢の者たちが小タイマツを手にしてそのもとに集り一緒にドラ踊りを踊る。この時男女二人の唖巴が出現しこの踊りに加わる。唖巴とはイ族の呼び方で、実際は祖先神である。横目縦目に描かれた面をかぶり、男面には二本の角があり、頭上に簀鶏鳥の尾羽根が插してあり、口に牙が生えている。この面相は人類の始祖が横目縦目であったという神話歴史を体現しているわけである。二人は草衣を羽織っており、手には杖を持ち、一切ものをしゃべらず、手の動作で会話をする。二人はドラ踊りの輪に加わり、踊りの輪の周囲を巡って祭りの禁忌を犯す者がいないか監視する。タイマツ祭りのドラ踊りの場で晴れているのに雨よけ帽子をかぶってはいけ
漢族住居に建替えられた者柯哨村の公所と集落
供犠の前に殺牛山で豊作の祈りをする貝碼
供犠の後、皮が剥れ解体される牛
村の宗教職能者は貝碼と呼ばれている
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